

刊行にあたって
『文芸倶楽部』は博文館から明治28年1月から昭和8年1月まで通巻457冊、ほかに約150冊の定期、臨時の増刊号が刊行されましたが、大正期に入ると、文芸誌というより大衆向け娯楽雑誌の色彩が濃くなっています。ここに博文館新社の承諾を得て、DVD版近代文学館7として、日本近代文学館の編集・刊行、八木書店の製作・発売により発行されるのは、この『文芸倶楽部』の明治篇、明治28年から大正元年に至る全284冊です。樋口一葉が明治28年9月『にごりえ』、同年12月『十三夜』、翌29年4月『たけくらべ』、5月『われから』をそれぞれ発表したのも、この『文芸倶楽部』です。一葉に限らず、泉鏡花、広津柳浪、田山花袋、国木田独歩、幸田露伴等がその代表的作品をこの雑誌に発表しており、若松賤子、大塚楠緒子、小金井喜美子のような、当時のいわゆる閨秀作家に文壇登場の場を提供したのも『文芸倶楽部』でした。
こうした事実から明らかなように、『文芸倶楽部』は明治文学研究にとって必須の貴重な資料であり、『文芸倶楽部』の調査なくして明治文学の研究は成り立たないといっても過言ではないと信じます。日本近代文学館は近代文学資料を収集し、保管、収蔵し、研究者等の閲覧に供することを使命としていますが、同時に、これらの貴重な文学資料をひろく普及し、研究者等の便宜に供することもまた、日本近代文学館の重大な責務です。このため、これまで日本近代文学館はこうした貴重な雑誌を複刻、刊行してきましたが、このDVD版『文芸倶楽部』もその一環をなすものです。
このため日本近代文学館は十川信介専務理事をはじめとする11名の学者が編集にあたり、八木書店の全面的協力を得て、このDVD版『文芸倶楽部 明治篇』の刊行にこぎつけました。これがひろく活用され、日本近代文学研究に資することを期待して止みません。
2005年1月
財団法人日本近代文学館
理事長中村稔
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